『華ひらく皇室文化』展・泉屋博古館 分館 [世界の美術館&博物館]
泉屋博古館(せんおくはくこかん)、初めて聞く名前に興味を持ち訪れました。(5月6日)
所在地は港区赤坂と六本木の町名に隣接して、スペイン大使館やスウェーデン大使館、ホテル・オークラ東京本館などに囲まれた都内でも静寂な一等地です。
住友財閥15代当主が蒐集した美術品を中心に1960年京都東山の住友本邸に本館が開設されて、2002年に東京の住友麻布別邸跡に分館が開設されたそうです。
名称は、江戸時代の住友家の屋号「泉屋(いずみや)」と、約千年前に中国で編纂された青銅器図録「博古図録」に由来しているそうです。
そんな由緒ある歴史を持つ美術館で開催されたのが『華ひらく皇室文化』展です。
折しも平成から令和へと改元されて、あらためて天皇家の存在が話題になっております。今回の展覧会では幕府から政府へと近代国家に進む激動の時代、明治天皇にスポットがあてられております。
私が特に興味を持ったひとつ目が明治宮廷内の装飾です、御所の壁面が若冲の絵画で飾られておりました。絵画と見違うほど精密に織られた綴織壁掛なのです。現存するモノクロの写真で御所内が紹介されて、模写された下絵と共に実物までもが並び鑑賞できるのです。製作は川島織物、その技術の素晴らしさに言葉が失われるほどです。ふたつ目は、有栖川宮家が所用していた正餐用の食器の数々です。グラスなどガラス器はすべてバカラ製と解説にあります。グラスは厚さが1㎜程度の極薄で一見するとプラスチックのように見えますが、すべてに菊の御紋がカッティングされております。明治時代にバカラ社に特注されたものでしょう。その費用と時間が素人で平民の私には想像がつきません。
身の回りの生活品には現代の100均製品で溢れております。月に1、2度、美術館を訪れては本物に接することを心がけておりますが、今回は急速に近代化が進められた日本を実感できました。国内外の技術の素晴らしさも目の前にして、絶えさせてはならない思いです。
今回の展覧会は学習院大学資料館ともコラボしており、時間があればぜひ拝見したいものです。
初めて訪れた『泉屋博古館』は記憶の1ページに深く刻み込まれました。そして、ツツジが満開でした…!!
2019-05-14 05:00
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