ミュージカル『ラ・マンチャの男』払い戻しと見果てぬ夢 [オペラとミュージカル]
今年(2022年)2月日生劇場のミュージカル『ラ・マンチャの男』が、コロナにより公演の一部が中止となりました。
この作品との出会いは昭和44年(1969年)4月にさかのぼります。
18歳に成りたての若造が大いに感動して、もう一度観劇に行っております。
以来50余年、六代目市川染五郎から九代目松本幸四郎へ、さらには二代目松本白鸚を襲名して、その長い年月を共に歩み、初演からの度重なる再演を存分に楽しませていただきました。
完全なファイナルとなるこの2月公演は、手始めに7日の夜公演を観劇して、千秋楽の公演を楽しさと寂しさも含めて待ち望みました。
前売り開始日の繋がらないオンラインにイライラしながらも確保したプラチナ・チケットですが、上演数日前にただの紙きれとなってしまいました。
本当に、本当に、本当に残念でたまりませんでした。
観客の残念さより、二代目松本白鸚氏の無念さを思うと心が痛みます。コロナめェェェ~!!
5月末に入場券代金の払い出し通知票が郵送されました。
6月1日に金額を受け取り、『ラ・マンチャの男』が完全に終わってしまいました。
せめて千秋楽の舞台は観たかった…!
それでも “見果てぬ夢” は終わっておりません。(…そう思いたいです)
六代目市川染五郎が『ラ・マンチャの男』の舞台に立ったのが27歳時、現在の八代目市川染五郎は現在17歳で、あと10年で同年齢となります。
歌舞伎界のみならず芸能界全般で大いなる脚光を浴びている八代目市川染五郎さん、学校をやめて芸事に専念する旨、週刊誌の見出しをみました。10年後の『ラ・マンチャの男』の舞台が夢ではありません。
主演・市川染五郎27歳、演出・松本白鸚90歳、観客の私は80歳、決して無理ではないと思うのですが…
最後に、現在歌舞伎座で上演中の六月大歌舞伎第二部、『信康』のポスターです。
徳川家康を演じる二代目松本白鸚の貫禄と、若くして命を絶った家康の長男・信康を演じる八代目市川染五郎の凛々しさが伝わってきます。当代きっての名舞台との評判も納得です。
10年後(?)の『ラ・マンチャの男』の舞台が楽しみです。“見果てぬ夢は” 終わっておりません…!
ミュージカル『メリー・ポピンズ』東急シアターオーブ [オペラとミュージカル]
2004年4月15日にロンドン・プリンス・エドワード劇場でミュージカル『マンマ・ミーア!』を観劇した時の記念写真です。
その年の12月15日開幕となる次回作のミュージカル『メリー・ポピンズ』の前売りもすでに始まっていました。
丸々18年後の2022年5月4日にようやくそのステージを目にすることが出来ました。日本語版ですが…。
劇場は、渋谷ヒカリエ11Fの東急シアターオーブです。
来場者にはグリーティングカードが配布されており、よく見ると観劇日の日付が入っております。全公演日ごとに制作したのでしょうか、それとも “Jolly Holiday” なので休祭日のみのプレゼンだったのでしょうか?
ディズニーの映画版を観たのが14歳の中学3年生だったのですでに57年も昔のことです。当時、映画のキャッチコピーが “7歳から70歳までみんなが楽しめる映画!” とあり、それぞれの年齢の男女を招待しての試写会が企画されて14歳の男で応募したところ見事に当選して、有楽町・朝日ホール(当時)で大興奮して鑑賞した記憶がいまだに大きく残っています。
当然ながらアニメを合成させた映画版と生身の人間が演じるステージ版とでは、作り方に大きな違いがあります。
ただ、楽曲の楽しさやダンスの素晴らしさなどは同一で、原作の本質には変わりありません。
特に今回の舞台ではアンサンブルによるダンス・パフォーマンスは見事としか言いようがありません。
劇中歌として超超有名な “SUPERCALIFRAGILLISTICEXPIALIDOCIOUS” では、客席から自然と始まる手拍子で盛り上がり、子役を含めたアンサンブル全員でアルファベットの手文字によるパフォーマンスは素晴らしいものでした。アルファベットのスペルを覚えるのも大変だし、さらに手文字に変換して、ダンスも披露しなければなりません。平仮名ならともかく英語のアルファベットのスペルで、です…。
拍手喝采、カーテンコールはもちろんスタンディング・オベーション!
生の舞台ってなんて素晴らしいのでしょうか、一生懸命なパフォーマンスには涙が出てくるほどです。
明日への活力を授かったようです、次のステージが楽しみでなりません…。
ミュージカル『ラ・カージュ・オ・フォール』日生劇場 [オペラとミュージカル]
『籠の中の道化たち』に久しぶりに会いに行きました。
初回は1985年帝国劇場での初演、岡田真澄ジョルジュと近藤正臣ザザで、強烈すぎるほどのインパクトでした。
2度目に入った籠は2008年の日生劇場で鹿賀丈史ジョルジョに市村正親ザザとなりました。
今回久々の籠の中は同じオトコたちです。(3月14日・日生劇場)
1幕を見終えて感じたのが軽さでした。演技なのか演出なのかわかりませんが、なんか軽いのです。初演の舞台の強烈なインパクトが感じられないのです。ステージを終えた女優ザザが衣装を脱ぎ、化粧を落として客席を抜けて退場する1幕ラスト、これまでの演出に手が加えられたためでしょうか、ひとりの人間としてのザザの感情が伝わってこないのです。オトコたちのダンス・パフォーマンスの一生懸命さは見事ですが…
後半第2幕の面白さ、楽しさはこれまで以上でした。メインの役者さんたちは数多くの再演を重ねてその分が年輪として幹が太くなっていることでしょう。
家族を、人間を、愛を、描いている作品なので時代や世代を越えてこれからも上演される傑作ミュージカルです。
ただ、劇中「ホモ!」と2回叫ぶセリフがあります。久しぶりに聴くことばで、最近では「ゲイ」に慣れていますので、おそらくオリジナルの台本がそうなっているのでしょうね。ちょっぴり違和感がありました。
コロナ禍での舞台上演、大変なご苦労があったことと思います。
特にオトコたちのダンス・パフォーマンスはタップからカンカンなど多彩な振り付けに呼吸ぴったりな素晴らしいパフォーマンスで拍手喝采です! マスク着用でのレッスンはさぞかし大変だった事と考えられます。
2月のミュージカル『ラ・マンチャの男』に続いてコロナ感染者が出て、全27公演中12公演が中止となってしまいました。
2万人以上の方が観劇できなかった計算になります。楽しみにしていたことでしょう、残念でなりません。我が家で観劇できたことには感謝しかありません。
さらに万全なコロナ対策で臨んだ出演者の皆様の無念さは計り知れません。一刻も早いコロナの終息を願うばかりです。
日生劇場1Fホワイエに舞台から見た客席の写真が展示されております。世界に誇る劇場です!!
ミュージカル『ラ・マンチャの男2022 ファイナル』②、見果てぬ夢のまま終焉へ [オペラとミュージカル]
ミュージカル『ラ・マンチャの男』の東京公演は、平均して2.3年おきに帝国劇場と日生劇場で上演されてきました。(一時期、青山劇場でも)
ひとつの作品を同じ俳優が単独出演するミュージカルの日本国内最多上演記録を2008年に更新して、2019年には1300回のさらなる上演記録をも達成します。
その記念すべき舞台に接することが出来ました。
これは奇跡的な偶然で、観劇の1週間ほど前に強烈な台風が東京を襲い交通網が遮断されて公演が2回中止となってしまい、そのお陰で我が家の観劇日が1300回目となったわけです。
1965年のブロードウエイ初演に出演して、その後は日本公演にも深いかかわりを続けているミミ・ターク氏も来場されていて、元気なお姿を拝見させていただきました。
カーテンコールで披露された英語版の『見果てぬ夢』、そのドラマティックな熱唱は今でも耳に残っております。
舞台写真は、東宝公式サイトから掲載させていただきました。
あれから3年、ついにファイナルとなります。最後なのでどうしても千秋楽が観たくて、昨年12月の前売り開始日にチケットは辛うじてGETできました。感激! <後日公演が中止となり絶望の淵に落とされましたが…>
予備にと考えて入手した2月7日のチケットです。前日6日が初日なので2回目の公演です。
3年振りの舞台ですがファイナルでもあり、止めどなく涙が溢れ出てきます。
キャストの皆さんも舞台上のバンドの皆さんもこれまで以上に張り切っていることが舞台から伝わってきます。
白鸚・キホーテが歌う “ われこそはドン・キホーテ ” 嬉しくて楽しくて涙がポロポロ出てきます、“ 見果てぬ夢 ” は見続けた50年以上の中で最高、なんと力強くなんとドラマティックな歌唱か、涙に加えて鳥肌+ふるえまで…!
これまでは公演のパンフレットを買うことはあってもほかのいわゆるグッズは買ったことはありません。今回何故かパンフレットと販売されている “お土産” を買ってしまいました。
「ポロシャツ」「ハンドタオル」それに「チャーム付きネックストラップ」で、すべてロゴ・マークが入っております。追加が欲しければ千秋楽の日に買えばいいやと思っていましたが、その千秋楽そのものがなくなってしまい、言葉がありません。予備にと思って購入したこの日のチケットや、普段買わないグッズの購入など、虫の知らせでもあったのでしょうか? 自分ではわかりませんが…
さよならを言えないままお別れをしたようで、“ 見果てぬ夢 ” が見果てぬまま終わってしまいました。いまだに悲しくてやるせなさが残っております。
それでも、染五郎・キホーテも、幸四郎・キホーテも、白鸚・キホーテも、すべて記憶の中で、心の中で生き続けています。50年以上もありがとうございました、感謝しかありません…
今後の『ラ・マンチャの男』大変でしょうね、誰が演じるのか?
高麗屋の財産ですから考えられるのはただひとつ、10年後に現在の八代目市川染五郎が演じるのです。松本白鸚が六代目市川染五郎時代に演じた初演時は26歳、八代目染五郎は今16歳なので10年後は26歳となります。
祖父の演出で孫が主役、お客様は絶対に観に行くでしょうね。私でも観たいです!… でも10年後、からだがいうことを聞くか、それだけが心配です……
劇場という何もない空間、大好きです。歌舞伎も、ミュージカルも、…
ミュージカル『オリバー!』東急シアターオーブ [オペラとミュージカル]
10月19日に渋谷の東急シアターオーブでミュージカル『オリバー!』を観てきました。
『オリバー!』との出会いは大昔で昭和43年(1968年)の子供の日、私は17歳の高校3年生でした。
当時のロンドン・プロダクションによる引っ越し来日公演が約3ヶ月に渡り帝国劇場で上演されて、初日、なか日、千秋楽の各公演を拝見しました。
下の写真は初日の終演後に2階のロビーで撮影されて公演パンフレット(後半日程)に掲載されたものです。偶然にもカメラマンのすぐ後ろにいてこの場面を直接、目にすることができました。
オリバー役のダリル・グレイザーとジョン・マーク(右)と握手を交わしているのが、なるちゃんと呼ばれて親しまれていた浩宮徳仁(なるひと)親王で現在の令和天皇です。当時はまだ8歳で学習院初等科の小学生です、時代の流れが身に沁みます。
半世紀を経て、日本語による新演出版を見られることに興奮してしまいます。
お目当てはスリの親分役フェイギンを演じる市村正親さんです。
メインの役はW&クワトロ・キャストになっています。この日のキャストは、
メインの大人役の数名を除き、子役も含めてほとんどが初めて接する名前です。
期待していた通りでした、市村正親さんは完全に市村フェイギンを創り上げております。日本を代表するミュージカル・スターの名に恥じません、益々ファンになりました。来年の『ラ・カージュ・オ・フォール』や『ミス・サイゴン』が今から楽しみです!
帝劇のロンドン・プロダクション版と比べると舞台そのものが明るくなったことです。特にロンドンの街中、雑踏のシーンは大幅に手が加えられて見事なダンス・シーンへと変貌しております。もちろんオーケストラレーションも振り付けも新しいものです。時代に合わせた進化が感じられます。この演出が今後のスタンダードになるのでしょうか?
進化についてはもうひとつあります。限定ではありますが、カーテンコールの写真撮影が許可されているのです。
この日はちょうどハンカチWEEK!の初日。3階客席からはこのように撮影できました。
SNSでの拡散宣伝を目的にしているようですが、我が人生で初体験です! これも時代の進化なのですね。
19世紀のロンドン、チャールズ・ディケンズの世界から一気に現代に引き戻されました。渋谷ヒカリエ11階に位置する劇場・東急シアターオーブ(客席そのものは12~14階に位置する)のホワイエ(ロビー)から見下ろした風景です。再開発真っ最中の渋谷です。中央が世界的に有名なスクランブル交差点です。
フェイギンが暮らしたロンドンと現代の東京、猥雑さや雑踏、溢れる人口に広がる格差、どれほどの違いがあるのでしょうか?
17歳の少年から70歳の爺さんになった今、いろいろ考えさせられてしまいます。それでも生きているのです!…
2022春・ニューイヤーコンサートから東宝ミュージカルまで [オペラとミュージカル]
来年2022年に開催予定のコンサートやミュージカル公演などのラインナップが各社から発表されております。
来年前半に夫婦ふたりで楽しむ予定のステージを紹介します。
まずは我が家恒例のサントリーホールの『ニューイヤー・コンサート』で幕開けです。20数年来続くお正月の恒例行事ですが、昨年はコロナで中止となり連続記録が途絶えてしまいました。めげずに来年は3日のチケットをすでに購入済みです。
翌2月には日生劇場で二代目松本白鸚さんのミュージカル『ラ・マンチャの男』です。
1969年、私は当時18歳で初演の舞台を拝見して以来、白鸚さんと共に歩み続けてきました。ファイナル公演となり見ないわけにはいきません。寂しい気持ちですが、私もすでに70歳の年寄りになりました…
続く3月は同じ日生劇場でミュージカル『ラ・カージュ・オ・フォール』が上演されます。
ザザ役を近藤正臣さんが演じた初演の舞台も忘れられません。
2005年春にロンドンを旅行した時に、ステージ・ミュージカルとしての『MARY POPPINS Cooming Soon!』の看板を目にしました。それ以来ロンドン、ブロードウエイ、東京と上演されましたが我が家では残念ながらまだ観ておりません。
東京でもすでに再演ですが、我が家では初見で楽しみです。
7~8月は帝国劇場で、日本初演から30周年となる『ミス・サイゴン』が上演されます。
昨年2020年初日目前にコロナで上演全てが中止に追い込まれて払い戻しを受けました。それから早や2年、来年夏にキャストはそのままで上演が決定したわけです。
Wキャストどころかトリプル&クアトロ・キャストなので、2020年と同様なキャストで見られるか心配ですが、2年越しの観劇は今から楽しみでなりません。
コロナの感染者数は減少傾向にありますが、まだまだ油断はできません。少しでも落ち着いて予定通り上演されることを願うばかりです。
公演中止からチケットの払い戻し…、昨年から今年にかけて何回体験したことか!
コンサートも歌舞伎もミュージカルも我が家では生活の糧であり、からだや心の燃料でもあります。来年こそは客席でじっくりと感動を味わいたいものです…!
※ 我が家のネット通信の環境調整のためしばらくお休みさせていただきます。再開は10月5日予定です。
ミュージカル『レ・ミゼラブル2021』帝国劇場 [オペラとミュージカル]
約2年振りに帝国劇場を訪れました。
6月1日の昼の部を観劇です。
お馴染みのミュージカル『レ・ミゼラブル』です。
『レ・ミゼ』を観るのは、帝劇開場100周年を記念して初演時のキャストによる2011年の特別公演以来ですから10年振りとなります。
ネットの先行前売りで1階席前から6列目のど真ん中の座席が購入できました。
日本初演時を含めてもう30年以上のお付き合いですが、キャストはそれぞれに異なり今回もほとんどが初めての方々です。毎回歌の上手い方がオーディションで選ばれていますので心配なく、久々にミュージカルの醍醐味を味わせていただきました。
写真は、2021年6月1日昼の部のキャストです。
キャストの皆様の歌いっぷりには酔いしれてしまうほどです。まるでオペラの名場面でのアリアを聴くようで、時節柄禁じられている “ブラボー!” の声援を贈りたいほどです…
徹底したコロナの感染予防対策をとられての上演ですが、昨年のミュージカル『ミス・サイゴン』の中止・払い戻しを体験しているのでなおさら今回の観劇に興奮してしまいました。
今回の公演は『レ・ミゼ』の上演歴史に大きく残ることでしょう。
演出・振り付けをはじめ、舞台美術にオーケストレーションまで大きく手が加えられております。
開演前の紗幕に映し出される映像も変わり、右下に原作者のヴィクトル・ユーゴーのサインが見て取れます。(写真はウキペディアより)
ネタバレになるので詳しくは書けませんが、ヴィクトル・ユーゴー直筆の挿絵が効果的に使われており物語の進行を支え、これまで以上により深い感動が心に迫ります。
これまでの舞台を観た方には新しい感動と興奮を、初めて観る方にはこれこそが『レ・ミゼ』なのだと実感する素晴らしい出来栄えとなっております。
カーテンコールはもちろんスタンディングです!…、生の舞台を鑑賞出来る幸せに酔いしれて、ここしばらくはこの余韻に浸っていたいです。
東京ではようやく先週から映画館や美術館が再開されましたが、演劇も含めてかなりの制約があります。それでも心に大きな栄養を与えてくれ、決して不要不急のものではありません。今回の帝劇公演でも、おそらく数えきれない程の方々が携わり、彼らの情熱が作品の力となっていることでしょう。上演できる喜びが舞台から伝わり、観ている我々もからだが熱くなってきます。この興奮は忘れることができないでしょう、製作した東宝に感謝を申し上げます。
最後にリトル・コゼットの木版画です。1879-1882年に発表された原作本(ユーグ版)から画家のエミール・バヤールによる作品です。(ウキペディアより)
ミュージカル『レ・ミゼラブル』を代表する顔です。
自宅で楽しむ『レ・ミゼラブル』&『ミス・サイゴン』 [オペラとミュージカル]
コロナ禍、東京では映画館はNO、劇場はOKと、理解出来ない緊急事態宣言が発令されております。両者共に感染防止対策は十分に施されているのですが…
6月1日の帝国劇場『レ・ミゼラブル』のチケットを購入して今から楽しみにしております。
昨年の『ミス・サイゴン』は公演中止&払い戻しで残念な思いをして、ほかにもサントリー・ホールのニューイヤー・コンサートや今年4月の歌舞伎座公演、白鸚と幸四郎による「勧進帳」も直前に中止となり、年寄りの生き甲斐がことごとく潰されております。コロナ相手では仕方ありませんが…
帝劇の生舞台を楽しみにしながら今は自宅のBru-rayでミュージカルの興奮を味わっています。
『レ・ミゼ~』は初演から25年後の記念コンサート(2010年)で、数万人が収容できる巨大アリーナ「The O2」での公演です。このアリーナでは以前「ベン・ハー」を舞台化して本物の馬で大戦車競争を実現させたと聞きます。
大聴衆を前に、これまでのステージから選ばれた俳優さん達が自慢ののどを披露します。コンサートなので芝居はありませんが、キャストの皆さんの歌唱力は素晴らしくその見事な歌いっぷりはオペラのアリアを聴いているようです。衣装を着けての演奏なので舞台を見ている感覚で、Bru-rayの画面からでも大興奮、嬉しくて涙ぐんでしまうほどです。
(写真は「ユニバーサルシネマ・コレクション」HPからです)
アンコールでは初代オリジナル・キャストの方々も登場して盛り上がり、巨大アリーナが興奮のるつぼ化する様子も楽しめます。
さらに10年後の昨年(2020年)には、35周年記念公演が行われてBru-ray化されているそうで、こちらも早めに購入・鑑賞したいです。
2作目は『ミス・サイゴン』です。
(写真は同じく「ユニバーサルシネマ・コレクション」HPからです)
2014年9月にロンドン「プリンス・エドワード劇場」で上演された25周年記念公演の記録ですが、単なるステージの記録映像ではなく、1本の映画作品としての出来栄えになっております。
舞台を感じさせない緻密な演出と舞台美術、要所要所に取り込まれる実写映像など、ドキュメンタリーも感じさせるほどで、胸に迫る大きな感動が味わえます。
日本語での上演を観ている方にはもうひとつのお楽しみが含まれています。ミュージカル・ナンバーの日本語字幕に岩谷時子さんの訳詩が使われており、日本語の歌唱も聞こえてくる感覚になってしまいます。舞台上演用の日本語訳詩がそのまま字幕とは珍しく、それほど日本で親しまれている名作なのですね。
余談ですが、ロンドン・ウエスト・エンドにある「プリンス・エドワード劇場」は我が家にとっても思いで深い劇場で、2005年に『マンマ・ミーア!』を鑑賞した際、指揮者がお客様の足元をごめんなさいをしながら登場&退場するほどオケピと客席最前列がくっ付いていた愉快な出来事が思い出されます。(Bru-ray冒頭で客席が写し出され、一瞬ですが画面右下に客席とオケピがくっ付いているシーンがあります)
さらに余談ですが、この『ミス・サイゴン』、我が家では2000年1月に寒波に襲われた厳寒のニューヨークで鑑賞しております。9年目のロングランを続ける「ブロードウエイ劇場」で夜8時開演で終演は夜11時、感動と一緒に屋外の零下約30℃の寒さに震えていた事が思い出です。翌年に10年間のロングランを経てブロードウエイでは幕となっております。
VHSからDVDへ、さらに今ではBru-rayが我が家で主役になっています。DVDからの変わり目の頃は1枚5000~6000円の価格でしたが、最近では格安の価格設定になっています。この2枚、私が購入した当時は1枚1886円+税ですが、販売店の2点まとめてキャンペーンを利用して税込み3278円でした。年金生活の年寄りにはなんとありがたい事か!
外出自粛の生活ですが、自宅でコンサートや劇場の感動を多いに味わっております。舞台も、映画も、音楽も、私の生活にはなくてはならないもので、コロナに負けてはいられません…
ミュージカル『屋根の上のヴァイオリン弾き』2021・日生劇場 [オペラとミュージカル]
久々にステージ・ミュージカルを堪能してきました。(2021年2月8日・昼の部)
見事なアンサンブルに酔いしれてしまいました。
年齢を重ねるごとに生のステージに接する機会が減りました。そのお陰で若い新しいキャストの皆さんを知りません。今回も主役級の方々以外は初めて拝見しますが、舞台に立つだけのことはあって皆さん全員が見事な演技を披露してくれました。
ロシアの小さな寒村のお話を米国で舞台化して日本人が演じているわけですが、これまでは再演を重ねる名作として “プレタポルテ” の感覚でした。それが今回は職人さんが丹精込めて作り上げた “オートクチュール” 感覚に変わりました。半世紀以上にわたり繰り返して上演されているにも関わらずに、初演時のオリジナルティを残しつつ、時代の変化で細部には手を加えたものの、日本人による日本人のための心揺さぶる作品に仕上がっております。職人技で作り上げた、まさに “オートクチュール” の誂え品です。シニア世代の私には余計に感じられるのかも知れません。
特に目を見張ったのが振り付けです。オープニングの村人たちの登場からラストのお別れまで、一挙手一動すべてに振り付けが施されております。演出ではなくて、振り付けなのです。
ダンスシーンのパフォーマンスのみならず、全編において事細かに振り付けが指示されており、キャストの皆さんは見事なアンサンブルを構築して目を見張るばかりです。まさに「ブラボー!」です。
やはり生の舞台は素晴らしいです。昨年は切符も購入して楽しみにしていた『ミス・サイゴン』がコロナで休止となり残念でしたが、今回はしっかりした感染予防対策がとられての上演です。
初めてアナテフカ村に足を踏み入れたのは1967年9月で、当時は16歳の高校生でした。
以来、今月2月1日には70歳を迎えて感慨深いものがあります。
当時のスタッフ、キャストの皆さんの中には、すでに次の世界へ引っ越された方が大勢いらっしゃいます。
半世紀もの時間空間は大きいです。帝劇公演のプログラムに掲載された広告を紹介します。ジャルパックの香港・マカオ4日間は約15万円、ハワイ7日間は当時ひとり約30万円なり…
日立のステレオの約10万円は納得できますが、電子レンジがなんと298,000円もするのです!驚きです…
今でも変わらないのは、生の舞台の素晴らしさです。オペラやミュージカル、お芝居や落語の高座、バレエにコンサート、生で味わえる喜びは何事にも代えられません。そのひとつひとつが心の引き出しを豊かにしてくれます。
50年以上もお付き合いしてきたこのミュージカルは50年後も上演されるのでしょうか? ヴェルディやプッチーニのオペラのようにクラシックとして残っているのでしょうか? 残念ながらその時代には私は観ることが出来ません…
『コロナウイルスによる悲しい影響 その3』・ミュージカル [オペラとミュージカル]
ミュージカル『ミス・サイゴン』帝国劇場で4年振りの再演です。
1992年に本田美奈子さんの日本初演から、再演される度に観劇しております。2000年1月にニューヨークを訪れて、初めてブロードウエイで観たミュージカルもこの『ミス・サイゴン』で9年目のロングラン中でした。一番最近でも4年前、市村正親さんがエンジニア役を演じるのは最後かも知れないと報道されて観にいきました。舞台美術や振り付けなどに新演出が施されており目を見張った事が記憶に残るなど、いろいろな思い出が詰まった大好きなミュージカルのひとつです。
一般の前売り前にネットによる劇場の先行予約抽選や先行前売りを試みましたが、先行予約抽選にははずれて、先行前売りではネットがようやく繋がった時にはすべて売り切れており、前評判の凄さを実感させられました。最後の手段としてチケットぴあに挑戦して、ようやくどうにかしてチケットを手に入れました。S席ですが2階最前列のど真ん中の座席です。(6月17日・昼の部)
今回は主役のキム役やエンジニア役を4名で演じるクアトロキャストとなっています。4人の中から選んだキム役は沖縄出身の屋比久知奈さんです。彼女について知っていることはディズニーのアニメ映画『モアナと伝説の海』で主役のヒロイン、モアナの日本語吹き替えに出演したことぐらいで、当然ながら舞台は知りません。ロンドンやブロードウエイ初演のリア・サロンガさんや日本初演の本田美奈子さんなどと同様に、我が家にとっては舞台未知数の女優さんに期待を掛けました。
久々に、帝劇の大舞台でスペクタクルなミュージカルを味わえると喜んでおりましたが、コロナウイルスのお陰で公演はすべて中止となりました。6月だから大丈夫かな?と少しばかり期待はしていたのですが…。
図書館は閉まり、手元にある美術館の切符もただの紙切れになり、映画館の再開も不明、お芝居もダメ!、たくッ、コロナの奴め…!
現在チケットぴあに払い戻しの手続き中ですが、返金はいつになることやら…。チケットぴあも大変なことになっていることでしょうね。コンサートやライブ、演劇などの催しが相当数中止となり販売よりも払い戻し業務に苦労していることでしょう、お察しいたします。
劇場やキャストのスケジュールなどで、すぐには次回の開催は決まらないかも知れませんが、コロナが収束したらぜひ上演していただきたいです。ファンはみんな首を長ぁ~くして待っております…。