『美をつくし 大阪市立美術館コレクション』展・サントリー美術館 [世界の美術館&博物館]
大変大きな間違いをしていました。
今春オープンした「大阪中之島美術館」の所蔵作品が東京にお目見えする展覧会だと思っていたのです。
訪問直前にチケットを良く良く見ると「大阪市立美術館」でした。(11月5日鑑賞)
大阪への訪問回数も少なくて「キタ」と「ミナミ」の区別もいまだに判りません、ごめんなさい。
開館が1936年でまもなく90周年を迎える日本でも有数の美術館なのです。
今回の展覧会で私にとっての収穫は美術館へ寄贈されたコレクションについてです。「国立西洋美術館」の収蔵品のメインが「松方コレクション」であるように、この日は「田方コレクション」「山口コレクション」「阿部コレクション」「カザールコレクション」等の名が明記されて勉強になりました。
戦前からその道のコレクターが血眼になって蒐集された作品群です。当初は投機目的で集めたかも知れませんが、当人が没後に遺族がそれらの芸術文化作品の保存・継承を願って寄贈されたものと感じられます。
当時の財閥にいた「オタク」の趣味が現代の我々の眼と心を肥やしてくれます、ありがたいことです。
さらには美術館初心者の子供たちにもわかりやすい解説が施されております。おとなでも楽しめます。
「サントリー美術館」は東京ミッドタウンのガレリア3階に位置して、中央吹き抜けの写真です。
季節ごとにデザインは変えられて、芸術が感じられる空間になっています…
『芸術×力 ボストン美術館展』東京都美術館 [世界の美術館&博物館]
2020年にCovid-19のパンデミックによりいったん中止となったこの展覧会が、2年を経てようやく開催され、国宝級の作品群が鑑賞できるとあって勇んで出かけました。
コロナの感染は完全には治まっていないのであらかじめ日時指定券の予約が必要です。
訪問したのは晴天となった10月1日のお昼で、この日は「都民の日」でもあり無料開放された「上野動物園」には長蛇の列ができておりました。
美術館も混雑でごった返しており、日時指定券の必要さが今でも必要な事が感じられます。
古今東西、世界各地の権力者が己の権力を誇示するために蒐集、製作された作品の展覧会です。
展示作品すべてが “見事!” としか言いようがありません。国宝級の屏風や絵巻の数々が目の前に展開されております。ボストン美術館にはただただ、感謝しかありません!…
国宝級の作品が海外に点在、保存されていることは昔から知っておりますが、子供の時はなんで?と思っていました。この年齢になると、国内で粗末に扱われるよりも作品に理解のある海外の美術館等に収蔵修復されて後世に繋げて頂ければそれも有り、と思うようになりました。ただし今回のように、たまには里帰りをして祖国の人々の心を癒してくれるようお願いしたいものです。
夏日の暑さでしたが、芸術の秋を感じる一日となりました。
最後の写真は新しくなった「国立西洋美術館」です。
『水のかたち』展・山種美術館 [世界の美術館&博物館]
毎週のように日本列島は台風に襲われておりました。
9月19日敬老の日、山種美術館で『水のかたち』展を鑑賞してきました。
折しも台風の風雨が残る「水」の日で、実際に『水のかたち』が体感できる日でもありました。
山種美術館では昨年11月に京都から植樹された「醍醐の桜」の成長を確認する楽しみもあります。
かなりの大きさになりましたが、今後のさらなる成長が楽しみでなりません。
山種美術館は我が家から足の便も良くて年に3、4回は訪れて、毎回日本画の素晴らしさを存分に味わらせて頂いております。
放映中の大河ドラマの影響もあり「源平」関連の歴史画をじっくりと鑑賞したり、浮世絵や山水画の名品、さらには川合玉堂、川端龍子、千住 博の大作まで日本画の醍醐味で満腹感でいっぱいです。
いつもながらに思うのですが、これほどの作品群の保管や修復は我々素人には考えられないほどの大きなものなのでしょうね、表装や額装も含めて…。
来年2023年のカレンダーが発売になっておりました。
もうこんな季節なのですね、来年は私の干支「卯」年なので楽しみでなりません…
『奥田元宗と日展の巨匠』展・山種美術館 [世界の美術館&博物館]
連日35℃越えの猛暑が続く中、日本画の名品で涼を楽しんできました。(7月2日・広尾 山種美術館)
会期の終了が迫るので慌てて訪れたのが本音ですが、汗をかきかき訪問した価値はありました。
生誕110年を迎えた奥田元宗を始めとして、同時代の福田平八郎、川合玉堂、東山魁夷、山口蓬春などなど、日本画壇のリーダーたちの作品が一堂に会しているのです!
満足しないわけがありません。
特に目を見張るのが今回の目玉作品である元宗の代表作 ≪ 奥入瀬 ≫ の「秋」と「春」です。
両作品ともに、横幅・高さそれぞれが一間位の大きさの三面から成る大作です。寸法は見た感じのおおよそですが、三面セットで一作品なので全体を見るとその大きさに驚かされてしまいます。
さらには展示のために額装されて(アルミ製?)おり、水平・垂直を保つ展示は至難の業とおもわれます。
(会期終了時に額装からばらして収蔵・保管作業にも相当な神経を使うことでしょうね、頭が下がります)
迫力ある大画面の作品が同時に鑑賞出来て大喜びです!
今後も同時に鑑賞できる機会はあるのでしょうか? 得した気分です。
美術館の玄関わきには、昨年11月に京都から移植された「醍醐の桜」が大きく成長していました。
3月には桜も開花して、館内の展示作品同様に来館者を楽しまさせてくれます、今後も楽しみです…!
『スコットランド国立美術館 美の巨匠たち』展・東京都美術館 [世界の美術館&博物館]
関東地方は今年記録的な早さで梅雨明けとなり、すぐさま異常なほどの猛暑となりました。
35℃を越す猛暑の初日となった6月25日に上野公園の東京都美術館を訪れました。
土曜日とあって多くの人出があり、35℃を越す中でも皆さん律儀にマスクを着用しております。が、やはり木陰に集まってしまいます、当然ですよね。
そんな中で鑑賞したのが『スコットランド国立美術館展』です。
夫婦ふたりの鑑賞ですが招待券が一枚あり、もう一枚はネットでシニア料金券を購入して、同時に日時指定予約をします。
コロナ禍ですでにこの方法は通常のものとなっております。
久々に接する西洋画展です。ワクワクしてしまいます。
スコットランド国立美術館の収蔵作品に接するのは初めてです。
これまでにパリ、ウィーン、ロンドン、ニューヨーク各都市の美術館でそれぞれの財産とも言える名画を鑑賞しましたが、それらと同等、あるいはそれ以上の名作品揃いで驚かされました。
ルネッサンスからバロックを経て、さらには現代に至るまでの作品群です。
キャッチコピーにあるように「美術史に輝く、巨匠たち(ザ・グレイツ)の競演。」正にその通りで久々の西洋画に大興奮、大満足してしまいました。
エピローグとして展示されていたアメリカの風景画家フレデリック・エドウィン・チャーチの大作「アメリカ側から見たナイアガラの滝」がフォトスポットとして登場しておりました。
実物大でこの大きさです。注目すべきは指さす先に木製の展望台があり、ふたりの人物が滝の流れを見ております。
雄大な滝の流れと光り輝く虹模様、緻密に描かれた岩肌と木々の数々、そして滝の大きさが実感できる小さな展望台、東京の猛暑を忘れさせてくれた大作でした…
『北斎 花らんまん』展・すみだ北斎美術館 [世界の美術館&博物館]
初めて『すみだ北斎美術館』を訪れました。
以前から気になっていたもののなかなか訪問する機会に恵まれませんでした。
入場券の有効期間最終日となる5月22日、五月晴れの日曜日に訪問してきました。
この美術館は国内にいくつかある北斎専門館のひとつで、その生涯をたどりながら作品を巡り、勉強できる展示・構成となっております。作品のデジタル化で、拡大して微細部を鑑賞したり、描き方を一筆書きで学んだり、現代風な遊び心が感じられる美術館です。
常設展に加えて企画展が併設されて、今回は『北斎 花らんまん 四季の花が見ごろです。』と題されて、浮世絵・肉筆画を合わせて豪華絢爛たる四季の花々がタップリと鑑賞できました。
都内では、北斎に関する展覧会が毎年のように開催されています。現在もサントリー美術館で大英博物館所蔵の作品群が里帰り公開されております。(『Hokusai from the British Museum』22年6月12日まで)
現存する作品が3万余点と言われておりますが、浮世絵として摺られた数を含めるとどの位の数が世界中に存在しているのでしょうか想像が出来ません。90歳で亡くなるまで、信じられないほどの高齢にもかかわらず晩年まで絵筆を握っていたそうで驚くばかりです。
もうひとつ会場で驚かされたのが、実物大に作られた四畳半ほどの小部屋で制作に没頭する北斎と傍で心配そうに見つめる娘のお栄(葛飾応為)さんの人形模型です。晩年の北斎でしょうか、手や顔の皺じわは怖いくらいリアルでさらに絵筆を持つ右手が動きます。狭くてゴミだらけの小部屋で後世の残る芸術作品が生まれたことに感激して涙が出そうでした…。
『上村松園・松篁 -美人画と花鳥画の世界-』展・山種美術館 [世界の美術館&博物館]
春爛漫、満開の桜の中、『上村松園・松篁-美人画と花鳥画の世界-』を鑑賞するために山種美術館を訪れました。(4月2日)
写真は恵比寿駅から山種美術館に向かう途中、明治通りに咲き誇る見事な桜並木です。
美術館を創立した山崎種二氏は上村松園と親しく交流があり代表作を含む18点を蒐集、美術館開館55周年を記念してその全てが公開されました。
妖艶なる美人画はいつ観ても惚れ惚れして、その美しさに引き込まれてしまいます。
松篁は松園の長男で花鳥画を得意として、京都画壇を代表する格調高い花鳥画9点も同時に鑑賞できました。
さらに嬉しいことに松篁の長男・上村淳之の作品や、鏑木清方、小倉遊亀、伊藤深水らの作品も鑑賞できる誠に豪華な展覧会で、満足+満足、感謝+感謝、です。
奥村土牛≪醍醐≫、美術館HPより
美術館表通り脇に昨年11月に≪醍醐≫の桜の苗木が移植されて、今年1月に訪れた時はまだ芽も出ておらず、今年はまだ咲きはしないだろうと思っていました。訪れたこの日(4月2日)は見事な新緑の葉でおおわれており、よく見ると花が咲き終えてしぼんだ様な跡が…
館内でスタッフの方に伺ったら、3月14日に開花してHPに写真を掲載しているとの事。
その写真がこちらです。京都≪醍醐≫の桜、なにか気品さえも感じられます、さすが山種美術館!
来年はこの眼でぜひ拝見したいものです!…
『江戸東京博物館』長期休館前の観覧 [世界の美術館&博物館]
両国の『江戸東京博物館』が大規模な改修工事を行うために休館となると聞き、休館前の観覧を楽しんできました。
訪問したのは3月28日、ちょうど開館記念日にあたり無料でした、ラッキー!
ここ2年以上コロナの感染防止で触ることのできなかったお試し道具類に挑戦しました。
まずは肥桶担ぎです、片側20㌔を越す重さです。
続いて千両箱、
最後は、火消しの纏です。
それぞれが相当な重量があります。江戸人のパワフルさ実感できました。と言うより私がヤワなのでしょうか?
人力車で一服、やはり年寄りにはこれが似合います。
企画展の『徳川一門 ー将軍家をささえたひとびとー』の会期も延長となり、同時に観覧することが出来ました。
こちらもラッキー!…
改修工事終了は令和7年度の予定で3年間の休館となります。『新江戸東京博物館』の誕生が楽しみです。
屋外では満開の桜が咲き誇っておりました…
『メゾン・エ・オブジェ・パリ展』日本橋高島屋 [世界の美術館&博物館]
3月21日、日本橋高島屋を訪れました。
開催中の『メゾン・エ・オブジェ・パリ展』の最終日に慌てて駆け付けました。
毎年パリで開催されている国際的なデザイン展の日本版です。
単にデザインの優れた作品の展示会ではなくて、注目すべきクリエーターたちの作品を専門のキュレーターを介してまとめ上げた展示で、日本ではなかなかお目にかかれない展示会です。もちろん私も初体験です。
30代から40代の20年間、松屋銀座の家具売り場に家具を納入(卸)する仕事に従事しておりました。
百貨店全体のコンセプトに基づき、売り場の展開、商品の開発、仕入れなどをバイヤーの指示のもと、一緒に行動をしておりました。
当然ながら店頭での販売も経験、そのためにフロアに展開された売り場の商品を勉強することにも恵まれました。輸入家具はスカンジナビア・デコアの北欧家具やイッタラなどの生活用品、「あかり」に代表されるイサム・ノグチに、すぐお隣は店の顔である「デザイン・コレクション」売り場でした。
ここでの20年間に、人生に、生活に密着した「デザイン」をいやと言うほど知ることができました。
この展覧会では久々に「デザイン」の面白さを感じました。
ひとつビックリしたのが時代の経過です。展示作品の仕様はなんとQRコードから読み取るのです! 70代の年寄りには考えられません、なにごとも「検索」する時代なのですね。
3月21日、日本橋の桜の満開はもうすぐでした…!
『フェルメールと17世紀オランダ絵画展』東京都美術館 [世界の美術館&博物館]
東京上野の東京都美術館で開催中の『フェルメールと17世紀オランダ絵画展』を鑑賞してきました。(3月8日)
コロナの感染拡大中ですので日時指定予約制となっております。
1979年のX線調査で発見されて謎とされてきたフェルメールの『窓辺で手紙を読む女』の壁面は、2021年秋ついに40年以上に渡る修復作業を終えてフェルメールが描いた当初の姿が公開されました。
フェルメール好きな私たち夫婦にとって観ないわけにはいきません。
会場にはこれまで公開されてきた壁面が真っ白な作品と修復された原画が並べて展示されて目を見張るほどの驚きが味わえました。
今回の展覧会でフェルメールの作品はこの『窓辺で~』1点だけで、ほかの展示作品ははフェルメール自身が影響を受けたと思われる作品とフェルメール作品に影響を受けたと見受けられる作品です。約75点ほど出展されていますので、それはそれで見応えがあります。
フェルメールの作品は35点ほどしか実存しておりませんが、私たち夫婦は「ウィーン美術史美術館」「ロンドン・ナショナル・ギャラリー」「ニューヨーク・メトロポリタン美術館」そして「パリ・ルーヴル美術館」で、それぞれお会いさせていただきました。加えて所蔵する海外美術館の来日展でもお会いしておりますが、それでも約半数にとどまります。ただ、レプリカによる全作品の展覧会や、鳴門の「大塚国際美術館」で実物大の陶製の作品なども拝見してフェルメールを楽しんでおります。
帰りがけ「窓辺で手紙を読む女」ならぬ「壁面で手紙を読む爺さん」を演じてみました…