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映画『モリのいる場所』銀座シネスイッチ2 [お気に入りの映画]

久々におとなの映画を観てきました。(5月28日 銀座シネスイッチ2)

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画家の熊谷守一さん夫婦の日常を描いた作品です。

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平日の昼ですが最前列までド満席で、ほとんどが妙齢のご婦人方です。男性は私を含めて片手に収まる程度です。94歳の画家と52年間付き添っている奥様との夏の日常が映し出されるだけ…、そんな内容ですが、なぜか引き込まれて、妙に納得してしまいます。画家役を山崎努さん奥様役を樹木希林さんが演じておりますが、正に本人そのものではないかと思わせるほどの自然な演技です。

ご夫婦の東京での暮らしは豊島区椎名町、私が生まれ育ったのが豊島区駒込で、同じ区内に住まわれていたことは知りませんでした。映画で描かれた時代は1970年代で、20代の私は同じ空気を吸っていたわけです。妙に懐かしくて納得したわけです。ちゃぶ台に縁側、画面の角が丸いTVにジーコ、ジーコとダイヤルを廻す黒電話、40年前の実生活がよみがえります。頑固な芸術家の硬い話かと思いきや、江戸むらさきのTVCM(三木のり平のナレーションにおもわずウルウル)や当時人気絶頂のドリフターズの金タライ落としまで、若い監督の遊び心も満載で、その柔軟なアイデアに驚き脱帽してしまいます。画家熊谷守一にもその遊び心があり、さらに執拗なほどの熱心な観察力があったことが描かれています。

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アリは左足の2本目から歩き始める…、との持論を信じて地面に這いつくばって観察する姿には可笑しさよりも感動すら覚えます。庭中の草花や昆虫などに注がれるヒューマニズムも画面から伝わってきます。専門家の協力あってのことでしょうが、劇中随所にアリやカマキリなどの昆虫のアップが映し出されます。それらの画面からも熊谷守一の心が感じられ、実に品の良いおとなの映画に仕上がっています。

現在、住居跡には“熊谷守一美術館”が建てられているそうで、旧豊島区の住民としても是非一度訪れてみたいものです…。


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