東京文化会館 [コンサート]
開都500年を記念して1961年4月、上野に『東京文化会館がオープンしました。私が10歳の時です。小学生のわたしでも、華々しくオープンした当時のニュースに興奮したものです。“日本もこれで文化国家の仲間になれる…”などと、おとなが話しをしていた事が記憶にあります。それから40年以上が過ぎて老巧化が目立ち、今年6月1日から11月一杯まで改修工事が行われております。建物の養護の囲いに建築当時の写真が掲載されておりましたので一部を紹介します。
1960年6月15日 大ホール内躯体(上部屋根吊足場)
1960年8月15日 大ホール舞台上部 外壁PC取付
1960年8月15日 舞台奈落躯体
1960年12月1日 大ホール壁・反射板取付
1961年1月15日 外溝工事
1961年3月5日 大ホール舞台装置取付
1961年3月30日 大ホール完成
1961年4月7日 落成演奏会
現在の大ホール・オペラ開演前です
1961年4月吉日 竣工
現在の正面入り口です
わたしの音楽的素養を育ててくれたのはこの“東京文化会館”です。なかでも1966年、15歳の年が今でも忘れられません。まずは4月12日(火)ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮のベルリン・フィルハーモニー交響楽団。ベートーベンの交響曲5番と6番を聴いた日ですが、楽屋入り口で楽団員の到着を待ち(いわゆる“入り待ち”…当時こんな言葉はありませんでした)サインをせがみました。
全部で22人のサインがいまでも宝物になっています。そしてカラヤン本人とブロンド美女の夫人がわたしの目の前1mほどを歩いて楽屋入りした姿が脳裏に焼きついております。翌月5月24日(火)は、ヴァン・クライバーンのピアノ・リサイタル。終演時に大勢の若い女性ファンがステージ前に駆け寄り、花束を渡していたことに驚きました。クラシックの演奏会でもこんなのありなんだ…、と。さらに6月12日(日)には、アルトゥール・ルービンシュタインのピアノ・リサイタル。“神に愛されたピアニスト”、その真髄や神の技巧に直接接したわけですが、理解するにはまだ若すぎたようです。芸術の秋を飾ったのは、シャルル・ミュンシュ指揮のフランス国立放送管弦楽団、10月8日(土)の公演です。ドヴュッシーやラヴェルなどフランスのエスプリを堪能させていただきました。チケットが手元に残っております。
すでに半世紀近い年月が経ちますが、“東京文化会館”の歴史はわたしの歴史でもあります。都内では最近、サントリー・ホールや渋谷のオーチャード・ホールなど優れたコンサート・ホールに押され気味ですが、改修工事後が楽しみです。人生の折り返し地点を過ぎたわたしに、どのような音楽シーンを展開してくれるか、期待に胸が膨らみます。身体の改修工事を少しずつ行いながら長生きをしたいものです。素晴らしい音楽に接するためにも……
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