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上野・国立西洋美術館とその界隈 [世界の美術館&博物館]

真夏を思わせる晴天の5月29日、上野の国立西洋美術館で『ジャック・カロ リアリズムと奇想の劇場』展と『非日常からの呼び声 平野敬一郎が選ぶ西洋美術の名品』展を鑑賞してきました。s-P5290007.jpgs-P5290008.jpgs-P5290010.jpgs-入場券.jpg

ジャック・カロはフランスに生まれてイタリアで活躍した17世紀の版画家です。その緻密でリアリズムに溢れた作品には驚きの声が上がってしまうほどです。単なる銅版の版画からエッチングの技巧になり、さらに新しい技術を考え出した当時最先端の版画家だったのです。私も初めて知り、勉強になりました。この時期、修学旅行の生徒さんたちも多く見受けられて、チケット売り場に並ぶ姿もありました。(上の写真) ただ、彼らには少しばかりむずかしい内容だったのでしょう、館内で出口を係員に聞いて、足早に去っていってしまいました。それでも美術館に行くという行為を褒めてあげるべきでしょう。

そう言う私もジャック・カロの作品群よりも、同時開催された小説家平野敬一郎氏がこの美術館所蔵の松方コレクションから選び出した併設展に興味がそそられてしまいました。これまでの常設展示作品から平野氏が独自に選択して解説を加えております。死や生、妄想など非日常の世界を名品から浮き上がらせる解説です。一般人がキュレーターとしての展示会は初めての試みではないでしょうか?これまでに目にした作品がまた違った作品としてみられます。とてもおもしろい企画だと思います。この企画、一歩進めて続けていくことはできないものでしょうか? 例えば、お笑いから映画監督までマルチ・アーティストの北野たけしさんが独断と偏見(?)で選んだ作品展とか、音楽のみならず幅広い芸術に深い造詣を持つ指揮者の小澤征爾さんが選び抜いた作品展とか、もっとくだければ、AKB48のメンバーが一人ひとりそれぞれ一作品を選びその理由をつけた作品展とか…、専門のキュレーターとは違った見方が出来るはずです。中高生や若い年齢層を来館させるには良い方法だと思うのですがいかがでしょうか? できれば短期間の企画展ではなくて、常設展の一角で半年ないしは一年のスパンで展示できれば、地方からの来館者や修学旅行の生徒さんたちにも気楽に名画に接する事が出来ますし楽しんでもらえるのではないでしょうか。そこから枝が伸び、翼が広がり、全国の美術館の来館者が増えて、しいては芸術に対する理解や親近感も増していくように思われます。

そんな事を考えながら久しぶりに常設展会場に向かいました。オヤ?オヤ?、いつもの場所にあった作品がなくなっているではありませんか。見慣れた場所にお気に入りの作品がないと寂しいものです。係員の方にうかがうと、春先に全館休館をして展示壁面などを補修したとのこと。それにしたがって、一部展示作品を入れ替えて、陳列場所も変更したとのことでした。私のお気に入りのジャン=フランソワ・ミレーの『春(ダフニスとクロエ)』もギュスターブ・クールベの作品群も見当たらず、仕舞われてしまったとのことです。特に、牧歌的で純粋無垢な少年少女時代の『ダフニスとクロエ』が大好きだったので、ここに写真を残しておきます。

s-ミレー『春(ダフニスとクロエ)』.jpg

美術館を出てすぐ近くの上野駅界隈を散策しました。上野駅周辺はすっかり様変わりをして近代的なビルが林立しております。下の写真はこの4月にオープンしたレストラン・ビル『上野の森 さくらテラス』です。続く下の写真は、その『さくらテラス』から写したもので、中央の建物がヨドバシ・カメラ、その左下が『アメ横』の入り口です。左端はJRの線路となります。

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アメ横は大勢の人でごった返しておりました。修学旅行の中高生と思われるグループや近隣の海外からの観光客が目だっています。若い人のお目当ては昨年放送された『あまちゃん』のロケ地と、さらに地方からこれから人気が出るだろうと思われる新アイドル・グループのステージ鑑賞などで、昔の中高年が闊歩していた下町・上野の面影は無くなってきています。

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ただ、オヤジたちにもやさしい上野を発見しました。上の写真のすぐ左、JRの線路下の看板です。s-P5290027.jpg

お酒がなんと190円、しかも24時間営業です! 昼間っからだと酔いが早そう~。若い人と外国人とオヤジたちが肩を並べる、独特な雰囲気を持つ上野界隈でした。そのバイタリティーに圧倒されて疲れが残ってしまいました。ヤレ、ヤレ…

 


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