大竹しのぶ 『 ピアフ 』 [演劇・舞台]
大竹しのぶの役者根性をまざまざと見せつけられました…。シアタークリエで上演中の大竹しのぶ主演『ピアフ』を観てきました。 “ピアフが大竹しのぶに舞い降りた!”と絶賛された2011年の初演の舞台はチケットが入手できずに断念。必ず再演する、と信じてこの日を待ち望んでおりました。WEBによる先行前売りを利用して昨年11月上旬にチケットをゲット。正解でした、一般前売時には残席は殆どなくて、初日前に全席完売になったとのこと。大竹しのぶの舞台を生で見たい観客の気持ちが痛いほど理解できます。
チラシやポスターの上下左右四隅に小さく、初演時の新聞各紙の批評が記されております。プロの芸能記者評は的確で、それ以上の褒め言葉が私には出てきませんのでそれらを紹介します。 「大竹しのぶの幕切れの絶唱。『水に流して』を聴くだけでも劇場に出かけた甲斐のある音楽劇だ」-日本経済新聞 内田洋一氏 「衣装もメークもほとんど変えないまま、一瞬にして役の年代も変化させてしまう演技の見事さ」-東京新聞 萩尾瞳氏 「渾身の熱唱だ。日頃は卑俗で口汚いピアフが、歌っている時だけは聖性を帯びてくる」-朝日新聞 小山内伸氏 「歌手でない大竹の歌は魂の叫びとなって、聴くものを圧倒する。同時代に大竹がいる幸せを感じる瞬間だった」-日刊スポーツ 林尚之氏
〈パンフレット表紙〉
今や日本を代表する女優、と言うよりシェークスピアもギリシャ悲劇もその演技力で世界に名を轟かせたと言って良いほどの名女優・大竹しのぶです。私が彼女の舞台で感銘を受けた最初の作品は1979年夏に家族向けに作られた音楽劇『にんじん』です。それまでにNHKの朝ドラや映画で若手女優として認められておりますが、当時二十歳を越えた大竹しのぶが、真っ赤な髪でソバカスだらけの少年・にんじんを見事に演じたのです。制作会社や脚本家、演出家の名を冠した『にんじん』ではなくて、『大竹しのぶのにんじん』なのです。今回の『大竹しのぶのピアフ』と同様なのです。 あれから30年以上が経ちますが、TVで時折見せるおっとりして少々天然っぽいしゃべりの素顔は相変わらず変わりません。それでも一度舞台に登場すれば表情もしゃべりも一変してしまいます。 役に成りきり、正に憑依したとさえ感じさせます。憑依と言えば、年をとったピアフのセリフ回しが、故・森光子さんのセリフ回しにそっくりだったことに驚かされました。『放浪記』の終盤、年老いた林芙美子を演じる森光子さんにダブって見えてしまいました。老年の女性の喋り方は似てしまうのでしょう。新しい発見でした。
『ピアフ』のカーテン・コール。満員の客席からの大拍手に応える大竹しのぶさんですが、1度目、2度目はピアフの表情そのままで、3度目になってようやく小さな笑みがこぼれました。ピアフが抜けたのでしょうね。女優・大竹しのぶを感じた一瞬でした。客席からは惜しみない拍手が鳴り止まない感動の時間を体験させていただきました。
なつかしい『大竹しのぶのにんじん』を紹介しておきます。 〈オリジナル・キャスト・レコード盤より〉
〈私の世代では懐かしい、ブーちゃんこと市村俊幸さんも出演していました〉
残念ながら、映画『一枚のハガキ』をまだ見ておりません。一度映画館に行ったのですが、その時すでに公開が終わっていて残念な思いをしました。DVDを買おうかな…
興味深く拝見しました。
79年8月,日生劇場のにんじんですね。懐かしいです。私は3回通いました。
御存知かも知れませんが,その年の秋に2日間に渡り,前編・後編としてNHKで劇場中継として録画放送されました。
実はそのときのビデオを保存しています。PCに落とせればYOUTUBEにアップしたものをダウンロードして頂けるのですが・・・。
by MAOMIE (2013-05-06 06:56)